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テレジアの蒼い小窓

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なかにし礼「夜の歌」

Category最近読んだ本
2017.02.27
先日、TVで「なかにし礼」の特集をやっていた。
彼が食道がんで陽子治療を選択し、その後がんは消失したと思われていたのに、再発。その治療は手術と抗がん剤ということを知った。
「なかにし礼」は私の好きな作詞家でもあるし、若いころのその風貌はどことなく翳りと鋭さと苦悩を秘めている感じがしていた。
後年、彼のお兄さんとのものすごい確執を題材にした「兄弟」を読み、続いて満州から引き揚げてくる時代の母親とのことを題材にした「赤い月」も読んだ。
壮絶な成育歴を背景にしての現在の氏なのだと、その音楽・文学の才能の素晴らしさも含めて関心を持っていた。

その彼が最後の小説として出版したのが「夜の歌」。
最近の本としては珍しい、分厚さの本。459pで上下段組だからかなリのものだ。
でも・・すごい内容で、グイグイひきつけられた。
戦争のすさまじさ・・満州国から引き揚げるという中で体験した「不条理」の数々の描写は息もつけないくらいの迫力だ。
これほどまでに幼少期に激動の残酷な、理不尽な体験をするということがあるのだ・・と思い知った。

この本については澤地久枝さんと村松友視氏が的確な文を寄せられているので、それを参照されたい。

久々の小説・・ほぼ一日で読み切った私もたいしたものだった・・。

<なかにし礼、最後の小説>
がん再発による生命の危機の中で書かれ、著者の人生と音楽を集大成する一冊。
戦争の闇と歌謡曲の官能を繋ぐ秘密の回廊、そしていま、魂の無限の解放へ!

『夜の歌』の終章を読み終えて茫然としている。ずいぶん遠くまで翼をひろげ、思いをこめられたものである。読者もまたもう一度、敗戦前後の時代へと連れて行かれることだろう。「少年」は、涙をかかえて生きてきた「少女」(私)でもある。
............澤地久枝

覚醒と幻夢の交錯する黄泉の国へと、自らの〈来し方〉をすべて解き放ってさまよわせ、容赦なく暴き出したけしきの上に、さらに幾重にも色彩を重ねたあげく、涙の一滴に収斂れてゆく、比類ない自画像のゆらめき――。
............村松友視

                    yoruno uta

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